マンガ結社 日中韓

日中韓展開の電子マンガ出版社

ブランディング思考の経営戦略は蒼天航路の曹操に学べ!名言・名場面

この記事を書いた人:
水元英登(みずもと ひでと)
f:id:mizumotohideto:20170228121143j:plain
継続課金型コミュニティ設計・管理

空想の世界ならまだしも、歴史上の人物がここまで破格なのかと驚かされるのが主人公・曹操(そうそう)の判断力と合理性です。『蒼天航路』はインターネット時代の現在にも通じる際立ったブランディング戦略もまた「三国志」世界で最大勢力を築いた理由であることが生き生きと描かれている作品です。

 

<もくじ>

 

時は待ってはくれない

私たちがピンチに直面する時もチャンスに遭遇する時も、1秒前までは予想もできないほどの一瞬です。「検討します」とか「一度持ち帰らせていただきます」とか言っているうちに状況は180度変わることだったあるんです。

 

f:id:mizumotohideto:20170305191720p:plain

戦場を大きく観よ

まさに今こそが

この黄巾の大乱における分岐点であり得るのだ

 

ここを確たる分岐点とするならば策は?

『蒼天航路』 その四十七 大乱の峠 より

 

この名場面が生まれた状況

現在の中国。西暦184年3月。漢王朝の政権腐敗により虐げられた飢民が武装蜂起した「黄巾党」に対して漢王朝は官軍を動かし賊の討伐に当たります。

 

難攻不落の賊の拠点ということは、そこさえ落とせば戦局はくつがえる

黄巾党25万をまかなう食糧貯蔵地であり重要拠点である昆陽(こんよう)の砦を攻めた官軍の中に曹操の姿がありました。昆陽の砦の黄巾党の指揮官・張曼成(ちょうまんせい)を倒した官軍は黄巾党を支える莫大な食糧を奪い取るべく一気に砦に殺到します。

ところが敗れた昆陽の砦の黄巾党は狼煙(のろし)で味方に合図を送り、3万を超える救援部隊が砦に迫ります。

 

敵の心を支えている膨大な食糧を奪えば、敵は戦意を失う

曹操が取るべき策は3つと思われました。

  1. 食糧に群がる官軍を説得して退却する
  2. 救援を要請しつつ砦に立てこもって黄巾党の救援部隊を防ぐ
  3. 官軍を見捨てて退却する

しかし、曹操はいずれの策も不足と判断します。食糧を黄巾党に奪回されたのでは、この場での一時の勝利の意味は無に等しくなります。

 

そこで曹操から出た言葉が

「戦場を大きく観よ」

でした。

 

敵から奪った宝の山を自分のものにするか、敵に返すか、それとも・・・

人は手にリンゴを持った状態で、リンゴを捨ててまで新しいチャンスに手を伸ばせることはまれです。失うことは得ることよりも心に与える影響力が大きいからです。

そうやってほとんどの人はチャンスをつかむことができずに見送るだけです。

 

この場合、軍を率いるものにとっては命に等しい「食糧」という宝の山を失いたくないというのが人間の心理です。貴重な食料を自分のものにするか、敵に渡すか...

 

一番大事なものは何か。他をすべて捨ててでも得るべき大事なものは何か。

曹操の出した判断は非情なものでした。

砦 兵糧 そして

退却できぬなら 官軍をも悉く(ことごとく)焼き払うのだ

 

駆けつけてくる援軍もまた焼き滅ぼせ

食糧を運び出すために砦の奥深くまで入り込んだ味方も一緒に、敵の食糧を焼き払ってしまえという命令です。貴重な食糧を自分のものでも敵のものでもなく、消し去ることを選択しました。

 

大乱を沈めたきわどい判断 

この戦局で、もっとも大事なことは「黄巾党の圧倒的大敗」の事実だという判断です。

 

実際、昆陽での黄巾党の全滅は、人から人に伝わりあっという間に全土に広がりました。全土で武装蜂起していた黄巾党はこれによって戦意を失い、さらに首領・張角(ちょうかく)の病死によって急速に勢力を失っていくことになります。

 

この歴史的な転換は、「食糧」よりも「味方の命」よりも、「敵に与える絶望」の方が大事だったということの証明となります。

この辺りの描写は、マンガ『進撃の巨人』の「何も捨てることができない人には 何も変えることはできないだろう」の名言と共通するところがあります。

 

群雄割拠の戦国で曹操が突き抜けた理由

『蒼天航路』では、「風評」というキーワードが頻繁に出てきます。

世で最も疾い(はやい)馬は

言葉だ

 

走りはじめた言葉は

地の果てにたどりつくまで

疲れを知らぬ 

その百一 大尉袁紹より 曹操自身の言葉です。

 

人を動かすというのは、直接動けと言うものではない

群雄割拠の戦国の世を戦い続けて生き残ると言うことは、大きな勢力を動かして戦い勝ち続けることです。大きな勢力とは、兵隊で言えば数十万。それを支える農民や経済都市と考えれば100万単位です。

これはもう社会運動です。

 

社会運動を巻き起こすほどの数の人を動かすには「言葉」の力が必要です。

実際、この一件で曹操は「昆陽の砦で40倍を越す黄巾を討伐した新指揮官」として世間では語られるようになります。中国全土で曹操の名前を知らない人はいなくなりました。

 

北風と太陽の例え通りに人は動く

童話の「北風と太陽」のように、直接人に力を加えても人は動くものではありません。動きたくなる環境を作ってあげることが唯一の手段です。

曹操の風評は、当然「人殺し」というようなマイナスなものもありますが、曹操の下で知恵を活かそうとする者、曹操の下で力を活かそうとする者が続々と集まるようになります。

 

戦争をして、捕虜にして、無理矢理従わせたわけではありません(例外はある)。

 

ブランドとは同カテゴリの他の商品と区別する概念のこと

ブランド。ブランド。ブランディング。ブランディング。という言葉ばかりが独り歩きしていますが、ブランドとは「同カテゴリの他の商品と自社商品とを明確に区別する概念」を指します。

だから、自分を高めるためにライバルと同じことをやるのはブランディングではありません。

 

AppleのファウンダーCEOスティーブ・ジョブズの言葉です。 

美しい女性を口説こうと思った時、ライバルの男がバラの花を10本贈ったら、君は15本贈るかい?

 

曹操の「風評」による圧倒的ブランディング

群雄割拠の戦国で、曹操が圧倒的に他者を抑えて突き抜けたのは「風評」でした。他の地方領主との明確なブランディングです。

これは現代の市場競争でもまったく同じことが言えます。知名度が高いブランドは何をやっても成功し、さらに知名度を高める。私たちがマーケットで求められているものは、「商品力」よりも「認知」なのです。

 

『蒼天航路』がいかに優れた作品でも、読まれない限り評価はされませんからね。それと同じです。

 

 

おわり

 

蒼天航路の個性的なキャラクターの魅力はまだまだ語り尽くせません。

関連記事も過去にはいろいろ書いています。