美味しい日本酒を求めて 複雑そうだけど易しい日本酒部はじめました!
水元英登(みずもと ひでと)
継続課金型コミュニティ設計・管理
私はある同好会に参加しているのですが、そこでは、2人の唎酒師(ききさけし)が主導して「日本酒部」なるものが活動しています。これまで闇雲に日本酒と付き合い、まったく掴み所がないと日本酒に対して思っていた私ですが、これを機に、これまでさぼっていたものに清算をしようと思い立ちました。日本酒のお勉強とは言っても、日本酒と仲良くなって楽しもうとしているだけですが。そのプロセスを超初心者視点から共有していきたいと思います。
“ワインエキスパート” の日本酒の話
ある日の日本酒を飲む席で、ワインのエキスパートだと語る女性が興味深い話をしてくださいました。
曰く、ワインはブドウでほとんどが決まる。
だからワインは品種や産地でほとんどが決まる。その点、日本酒は水を使うでしょう?
そこに酒造家の腕が入り込む余地がある。だから日本酒は面白い。と・・・
ちょうど日本酒に興味を持ち始めた私にとって、「もうちょっと踏み込んでみよう」と思わせる興味深い話でした。
本当の偶然が生み出した些細な出会いです。
みなさんに説明する上で、こちらのwebサイトの資料がわかりやすかったので、こちらを参考の軸にして話を進めたいと思います。
日本酒の味わいをイメージする時に役に立つのが、ラベルに表示してある「日本酒度」と「酸度」です。
もちろん、味覚には個人差があるので、「1つの目安」として多くの人が活用しています。
まずはここを理解しておくと、話がスムーズでしょう。
日本酒度とは
日本酒もワインと同じように、口に運んだ瞬間に最初に受ける感覚は「甘さ」ではないでしょうか。
日本酒は米から作られるので、ご飯を噛むと甘くなるのと同じです。日本酒も微生物がデンプンを糖に変えているのです。
一般に「甘口・辛口」と呼ばれる分類について、数値化したものが「日本酒度」です。
+6.0以上を「大辛口」、-6.0以下を「大甘口」として、数字がプラスであれば辛口、マイナスであれば甘口に分類されます。
日本酒度の数字の根拠は何なのでしょうか?
株式会社CHERRY STONE代表取締役・女唎酒師ともりんの解説によると、
これは糖分が多いと比重が重くなることを利用し、日本酒度計で測定する際、水を0(ゼロ)として、それよりも比重が重い『甘口』の日本酒を-(マイナス)、比重が軽い『辛口』の日本酒度を+(プラス)で表記するものです。
ちょっと補足しますと、
お米から日本酒を醸造する過程でアルコールばかりだと水に浮きます。これが「比重が軽い」という状態です。
この辺りは今度、理科のお姉さんに聞いておきます。(7月20日、Ameba公式ブログデビュー、おめでとうございます!五十嵐美樹オフィシャルブログ「MIKI LABO」Powered by Ameba )
酸度とは
日本酒における「酸度」とは、日本酒の製造過程で発生した乳酸・コハク酸・クエン酸・リンゴ酸等の酸の量を数値化したものです。
この「酸」は、すっぱいことではありません。
酸には味を引き締める役割があります。酸が少なくこの働きが弱いと、すっぱくなるのではなく、味にキレがなくなりボヤけていきます。
酸が多いと「濃厚」と表現され、酸が少ないと「淡麗」と表現されます。
酸度の算出方法は、マニアックだし、面白くもないので省略します。
日本酒の純米以外ってなんなの?
純米というのは、なんとなくわかりますよね。「純粋に米!」ってことですよね。
純米以外のものには、醸造アルコールが添加されているわけです。
醸造アルコールとは、主にサトウキビを原料としたアルコールです。米から作られたものもあります。
では、なぜ醸造アルコールを用いるのでしょうか?
昔は防腐の意味合いがあったそうですが、香りを強調するという理由があります。
純米酒よりも、アルコール添加された日本酒の方が香りをより感じやすくなります。
日本酒の大吟醸ってなんなの?
日本酒のラベルでよく見る「純米大吟醸」の大吟醸とはなんなのでしょうか?
日本酒の中でも、低温で長時間かけて造ったものは「吟醸酒」と呼ばれます。この反対は簡単ですね。高温・短時間発酵です。(訂正・読者様より指摘により 16.07.23)
長時間発酵をすると様々な副産物が生まれ、「フルーティーで華やか」と言われる「吟醸香」が香りたちます。
じゃあ、この「大」ってなんなの?って話になります。
こちらは「精米歩合」と呼ばれる精米率で分類されています。
吟醸酒の中で、精米率が50%以下のものが「大吟醸」です。精米率が50%より大きいものが「吟醸」です。(訂正・読者様より指摘により 16.07.23)
精米歩合60%以下で吟醸酒と名乗れます。
50%以上、60%以下なら吟醸もしくは純米吟醸ですが、70%ですと「吟醸」は名乗れません。(特別純米・特別本醸造というややこしいものもありますが)
ちなみに、45%だと大吟醸クラスですが、吟醸と名乗ってもOKです。60%以下なら吟醸なので。(実際にそうしてる酒造もあります)
吟醸以上はいい酒なので必然的に丁寧に作られますが、低温・長時間だから吟醸というわけではないです。
<読者様より指摘 16.07.23>
玄米を100%として食用の白米が90%です。この数値が高いとお米の複雑な味を残し、磨けば磨くほどクリアな味になるというわけです。
<トリビア>日本酒は産地を気にしなくてもいい
日本酒を造るのに、原料となるお米のことを「酒造好適米」と言います。
私たちが食用に目にしているお米とはちょっと違います。
もっとも有名な酒造好適米は「山田錦(やまだにしき)」です。
日本一の生産量の酒造好適米であり、全国の生産量の9割が兵庫県で生産されています。
なので、どの県で生産された日本酒だとしても、まあまあな割合で兵庫産のお米から造られていると考えられるでしょう。
1911年から毎年開催されている「全国新酒鑑評会」には、各酒造会社がその年に製造した自社最高の製品を出品し、評価を求めます。 その鑑評会で最も高い評価である金賞を獲得する製品の大半は「山田錦」を原料とした製品です。
他にも、岡山県の雄町、新潟県の五百万石など有名な酒造好適米は強力なので、そこの都道府県産の日本酒が、ご当地のお米を使っているとは限りません。
下の写真は、京都府のお酒ですが、雄町(岡山県産)100%です。
だから、日本酒を選ぶ時に、都道府県にこだわる必要はないとも言えます。
自分好みの日本酒と冒険を楽しもう
とあるワインエキスパートを語る女性が教えてくれました。
「自分の基準となる日本酒を持って、それと比べてどうかを考えると良い」
なるほど!その通りだと思いました。
船は港があるから冒険の旅に出られるわけで、現在地が把握できてない航海は無計画な遭難ですよね。
これから、なんとなく自然体で日本酒と親しみ楽しんでいきたいと思っています。
この夏・・・あと一か月ほどで「ひやおろし」の季節です。
ひやおろしとは
「ひやおろし」とは、江戸の昔、冬にしぼられた新酒が劣化しないよう春先に火入れ(加熱殺菌)した上で大桶に貯蔵し、ひと夏を超して外気と貯蔵庫の中の温度が同じくらいになった頃、2度目の加熱殺菌をしない「冷や」のまま、大桶から樽に「卸(おろ)して」出荷したことからこう呼ばれ、秋の酒として珍重されてきました。
(勝手に)「みずもん・ひやおろし特集」までにどれほど語れるようになっているか、非公認唎酒師になれているかどうか。お楽しみに!
※たぶん商標か何かで「唎酒師」は名乗れないと思いますし、私個人は称号には興味ありません(笑)
参考:唎酒師とは・・・
マグロ解体ショー&日本酒勉強会
20年の目利きの経験のある築地の業者さんのマグロ解体ショーと日本酒とのコラボイベントも企画していますので、よろしくお願いします!