衝撃!頭の回転が速いやつほどプレゼンがつまらないことが判明
水元英登(みずもと ひでと)
継続課金型コミュニティ設計・管理
今、“意識の高い” 大学生を中心に若者のプレゼンテーションへの関心が高まっている。今、企業が求める人材についての情報が、そういった一定層の学生との接触を図りたい企業側の接近によって知られるようになっているからである。企業側も「プレゼンを学んでいる」という学生には「センスがある」と判断して是非とも欲しいと言う。プレゼン能力は今の社会人に圧倒的に欠けている要素だからだ。では、プレゼン能力とは何だろうか?
完璧なプレゼンというものはない
多くの人がプレゼンをなんとなく「こなす」と考えた場合、やってしまう勘違いは「完璧に台本を作って、間違えることなくスムーズに練習通りに再現すること」をゴールに設定してしまうという真面目な行動です。
これは少なくとも3つの理由で間違っています。
まず簡単な意識改革をして欲しいのは、完璧な台本=プレゼンとして正解ではないということです。
プレゼンとして正解ではないとはどういうことだと思いますか?
プレゼンの正解とは何なのか?
プレゼンをすることについて、絶対に唯一ハズしてはいけないポイントは何だと思いますか?
意外に思われるかもしれませんが、「最後まで聞かせること」です。
そんな初歩的なこと!?
そんな風に驚かれる人が多いと思います。だから、多くの人に圧倒的にプレゼン能力が欠けていると断言しました。
聞く前提の話は聞かせる工夫がない
思い出してみてください。高校の授業で先生の話を最後まで聞いたことはあるでしょうか?「聞く」とは耳に入ってくるという意味ではありません。「心ここにあらず」は聞いていませんよ。
義務教育を終えて、あなたはお金を支払って先生の話を聞くことができる契約をしているはずなのに、先生の話を聞かないことを選んでいます。
まだ学校であれば「先生の話は聞きましょう」という約束事がありました。
ですが、大人たちの実社会では、あなたの話を聞くメリットも、あなたの話を聞く理由も、基本的にはないのです。
人がプレゼンを聞かないという事実を認めた上で対策
「人生は選択の連続だ」などとよく言われますが、私たちは何も考えないということがほとんど無理です。私たちは常に生きるための問いを自分の脳内で投げかけています。
人間が1日にする問いの数は、一説には6万回とも10万回とも言われています。
みんな忙しいのです。TVがつまらなければ、一瞬でチャンネルを替えます。インターネットがつまらなければ、一瞬で「戻る」か「閉じる」です。
あなたの話もつまらなければ、瞬殺です。
では、人はどんなプレゼンをつまらないと感じるのでしょうか?
人がプレゼンをつまらないと感じるのはどんな時だろう?
他人の話を聞くというのは、実はとてつもなく高度なことを脳に要求しています。(何度も言いますが、聞こえているだけでは聞いていることにはなりません)
単語ひとつひとつが人の名前なのか、動作のことなのか、主語なのか目的語なのか・・・それはそれは複雑なことを驚くべきスピードで処理しています。
つまらないと感じるのは、この脳の処理がうまくいかなくなった時です。
例えば、話についていけなくなった時です。「置いて行かれた感」です。
話についていけなくる具体例
具体例1 内輪ウケ
聞く側が知らない話が始めると、瞬殺で心ここにあらずになります。
具体例2 聞きたくない話
聞く側に関係のない自慢話が始まると、瞬殺で心ここにあらずになります。
具体例3 情報の量が一気に多すぎる
聞く側の情報処理が間に合わなくなると、瞬殺で心ここにあらずになります。
聞く側は、これらの心ここにあらずを無意識にスタートしています。本人は聞いているつもりでも「何の印象も残らない」という現象は無意識に話から脱落した結果です。
これは、長い映画でも短い自己紹介でもよくあることです。
プレゼンをする時は小学生でもわかる話をしろ
あなたのプレゼンを「最後まで聞くことができた」聞き手は、あなたの話を「ほぼ100%飲み込めた」状態になります。
この状態は、正直言って非常にまれですが、聞き手の頭にハッキリとしたイメージができている状態です。
この状態で初めて、聞き手は「共感したり」「否定的な意見を持ったり」します。
最後まで聞くことができれば、自動的に聞き手の感情を揺さぶり行動をさせます。
なぜか?
人は常に生きるための問いを脳内で繰り返しているからです。
受け取ったものに価値を認めれば、勝手にそのことについて考え始めるのです。
つまり、プレゼンにおいて大事なことは、高度なことをするのではなく、頭の回転数を落として話すことなのです。
その理由は、話の内容を知るあなたが、話の内容を知らない聞き手に伝えるからです。
それでも、完璧なプレゼンはない
ここまでの内容が理解できたら、プレゼンでは無敵の存在だと思うかもしれません。
しかしながら、あらゆる人に好かれることが無可能であるのと同様に、あらゆる人に受け入れられるプレゼンもあり得ません。
なぜか?
人それぞれ、経験や知識が違うからです。
理解できる領域とさらに言うと、理解したい領域が人によって異なるからです。これは、IQと言っても良いかもしれません。
ゴールに応じてターゲットを絞る
完璧がない以上は、ベストではなくベターという考え方に頭を切り替えましょう。
まずは明確にプレゼンのゴールを設定します。「この商品を5個売る」くらいの明確なゴールです。「知ってもらう」程度では弱いです。
次にゴールのためには、誰に言うのかを決めます。「100人中5人が買えばゴール」ならば、すでに関心のある10人にだけわかる話をすれば良いでしょう。
プレゼンの正解とは、あなたのゴールを目指すことで、他の誰にも理解されなくて良いのです。
半分の人の印象に残らなかったとしても、プレゼン後に自分の意図通りの人の名刺交換の行列ができれば良いのです。
「100人中95人に好かれたい」のならば、もっと頭の回転数を落として、独創的なことは言わず多くの人が持つ共通認識について確認すれば良いのです。「わかる。わかる。」と聞き手は気持ちよくなります。
数の多い一般層をターゲットとしているJ-POPの歌詞を参考にすると良いでしょう。
具体的な手法については、別の機会に解説したいと思います。
こちらの本は、つまらない話についてよくまとめられています。陥りやすい間違いについて、より詳しく知りたい場合は参考にすると良いです。
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